債務整理のご相談の中で、生活や仕事のために自動車を残す余地がないかご相談いただくことがよくあります。特に問題となるのは破産の場合に残せるかどうかです。結論から
・・・(続きはこちら) 債務整理のご相談の中で、生活や仕事のために自動車を残す余地がないかご相談いただくことがよくあります。特に問題となるのは破産の場合に残せるかどうかです。結論から言えばハードルがいくつかありますが、自動車を残せるケースはあります。
まず自動車ローンを完済しているかどうかが一つ目のハードルとなります。自動車ローンを組む際に担保のために所有権留保が設定されていることがほとんどです。そのため、破産手続を依頼したときに債務が残っていれば、例外もありますが、弁護士が債権者に受任通知を発送したタイミングで自動車は引き揚げられてしまいます。
次のハードルは自動車の資産価値です。裁判所の運用によりますが、基本的に換価の対象となるのは20万円以上の財産です(ただし、費目ごとに20万円以上の価値があるかを計算するため、例えば自動車を二台保有していて合計額が20万円以上となる場合は換価の対象となります)。そのため、自動車の資産価値が20万円を下回っていれば破産手続内でも自動車を残せることになります。
問題となるのは自動車の資産価値をどう算定するかです。一番わかりやすいのは中古車販売業者に査定書を作成してもらう場合です。本格的な査定書を出してもらえない場合も多いため、その場合は担当者の名刺の裏に査定額を書いてもらうだけの場合もあります。二社ほど査定を出せば大抵の場合は、査定額をベースに自動車の資産価値をご判断いただけます。
もっとも、年式や走行距離、車体の状態から査定をつけられないと言われるケースも中にはあります。また、中古車販売業者に持ち込む前に、年式等から明らかに20万円で売れないだろうということもあります。裁判所の運用によるため弁護士に確認していただく必要がありますが、こういった場合は自動車の年式や走行距離等から資産価値がないものとして財産目録に記載し、裁判所や管財人の判断を仰ぐこともあります(資料提出を求められた場合は協力する必要があります)。
なお、若干話がずれますが、資産価値のない自動車を早めに処分したいという相談を受けることもあります。駐車場代や車検費用、税金などの負担を避けたいという要望によるものです。破産の前提として財産の保全が要求されるため、処分には慎重にならざるを得ません。それでも処分せざるを得ない場合は裁判所や管財人から後に指摘を受けないように、資産価値がないことの証明として査定書をしっかり用意した上で処分するといった対応が求められますので、必ず担当の弁護士に相談をしながら進めてください。
以上、破産したときに自動車を残せる場合を説明してきましたが、裁判所や管財人によって異なる判断となることはあり得ます。そのため、実際には弁護士ともよく相談をしながら検討してみてください。